六方たんぼのコシヒカリ

「コウノトリ育む六方たんぼのコシヒカリ」の物語

かって日本の各地にいたコウノトリは、生息環境の劣化、農薬汚染などにより40年あまり前、豊岡を最後に自然界から姿を消しました。
豊岡市並びに兵庫県は、絶滅したコウノトリを再び大空に戻してやろうとコウノトリ野性復帰の取り組みを始めました。
携わった人々の長い年月の努力の甲斐あってコウノトリの保護増殖に成功し、100羽を越えるに至りました。
増えたコウノトリをいよいよ野に放すことになり、その為の様々な準備が進められました。
私たちは、コウノトリを再び田んぼに迎える為に、多様な生き物と共生する「コウノトリ育む農法」による米作りを始めました。

平成18年秋、六方たんぼの河谷放鳥拠点から自然放鳥したコウノトリが、翌春に産卵し、無事に育った1羽のヒナが平成19年7月31日、国内では実に47年ぶりという野性下での巣立ちを果たし、コウノトリを再び野性に帰す永年の夢が実現したのです。

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平成19年7月31日、大勢が見守る中、巣立ち直前のニッタン。

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百合地の巣塔を飛び立ったコウノトリ(ニッタン)は、親が待つ河谷のビオトープ水田までひと飛びして巣立ちした。六方たんぼに野生のコウノトリが戻ってきた瞬間である。
国内では実に47年ぶりという、野性下での巣立であった。

 

「コウノトリ育む六方たんぼのコシヒカリ」の特長

1.「粘り」がある食感、コシヒカリの美味しさ
太古の昔からの堆積土で、豊穣な重粘土質が特長の、六方たんぼの土壌の性質に由来しています。

2.安全・安心
「コウノトリ育む農法」で栽培しています。ひょうご安心ブランド(兵庫県)、コウノトリの舞(豊岡市)認定

3.しっとりとしたおいしさ
朝霧が流れる、良質米の産地「六方たんぼ」で育ちました。

4.たくさんの生き物を育んでいます
冬期湛水や中干し延期をするなど、すべての生き物に優しい環境と、美しい景観を守る理念を持って生産活動をしています。

5.健康をつくる
おいしいご飯が健康的な食習慣をつくります。 日本人の身体にはお米が一番。
おいしいご飯をたくさん食べることから始まります。

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たわわに実った稲穂

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稲を収穫後、冬期湛水する
コハクチョウが来て越冬する六方たんぼ

 

コウノトリ育む農法(コシヒカリ編)

1.定義
おいしいお米と多様な生きものを育み、コウノトリも住める豊かな文化、地域、環境づくりを目指すための農法(安全なお米と生きものを同時に育む農法)

2.要件
1)環境配慮
化学農薬削減
・無農薬タイプ:栽培期間中化学農薬不使用
・減農薬タイプ:化学農薬の使用を当地比75%減(コシヒカリ)
使用する農薬→普通物魚毒性A類
化学肥料→栽培期間中不使用
種子→温湯消毒又は食酢消毒
畦草管理

2)水管理
深水管理
中干し延期
早期湛水
冬期湛水(努力項目)

《解説》
コウノトリは肉食の鳥で、魚、蛇、蛙、それにバッタなどの昆虫も食べます。かっては、これらがたくさん棲む田んぼはコウノトリの餌場でした。
慣行農法では、田植えした稲が少し生育した6月中旬頃から「中干し」といって、水を落とし田んぼを乾かします。すると、田んぼで育っていたオタマジャクシやトンボの幼虫、魚などが干からびて死んでしまいます。
「コウノトリ育む農法」では、オタマジャクシがカエルに、ヤゴがトンボになるまで、田んぼで育ててやろうよといって7月10日頃まで中干しを延期します。
「コウノトリ育む農法」では、農薬を使わない、又は削減する、魚毒性の小さいものに限ることにより、水生生物、昆虫など生き物が農薬に頼る慣行農法に比べて、格段に増えてきます。害虫のカメムシはクモが食べてくれるなどして農薬に頼らなくてもいけることがわかってきました。
病害虫に強い稲づくりをするための工夫もしております。「丈夫な稲は丈夫な苗作りから」と、温室栽培を止め、薄蒔きして深水にも耐える成苗にします。田植えは粗植して病害虫に耐える健康な稲づくりを目指します。
雑草対策では課題も残っていますが、収量は少なくても、多様な生き物を育む農法は、コウノトリと共に、人間にとっても「安全でおいしいお米」が得られる良い農法といえます。

 

【六方たんぼの四季】

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生産履歴

1.概要
「コウノトリ育む農法」の《減農薬コシヒカリ》の栽培基準により栽培しました。
1)冬期湛水前年10月下旬に米ぬかを100kg(10アール当たり。以下同じ)散布。これは微生物の餌になります。11月初旬より田んぼに水を張ります。(コハクチョウが飛来しました)
2)育苗 4月上旬から
3)元肥散布 4月中旬 とれ太郎60kg、コウノトリ有機40kg
4)耕起・代かき 5月上旬
5)2回目代掻き 5月下旬
6)田植え 5月下旬 箱施用剤スタークル50g/箱
7)除草剤散布 田植え1週間後 ホームラン1kg粒剤
8)深水管理(8cm以上)
9)中干し 7月10日から
10)コナギ、ホタルイ発生田には除草剤(バサグラン液剤)散布
11)穂肥 7月中旬 コウノトリ有機20kg
12)収穫 9月中旬

2.育苗
「丈夫な稲作りは丈夫な苗作りから」の思いから、こだわりの苗作りをしています。
1)無消毒種子を購入し、食酢で消毒 水500リッターに5倍酢5リッターを加えた中に種籾を入れ24時間浸漬する。
2)低温浸種 14℃の井戸水かけ流しで12日間浸種する。種籾は十分吸水し、自然発芽の態勢になる。
3)無加温催芽
4)無肥料培土 JAS有機対応の無肥料培土を使用。
5)苗箱底面施肥 播種時に有機肥料を苗箱の底に散布し、その上に床土を入れ、潅水→播種→覆土の工程を行う。施肥:ファームパワーフィッシュ30g/箱
6)薄播き:少ない播種量 催芽籾重で80g/箱
7)無加温で芽出し 苗箱を屋外に段積みして放置
8)路地プール育苗 発芽が揃ったら路地の苗代に並べてプール育苗

3.畦畔の草刈り
良好な景観と、カメムシ被害を予防するために、シーズン中5回、畦畔の草刈をします。