コウノトリ育む環境づくり

コウノトリ育む環境づくりへの取り組み


はじめに
コウノトリ野生復帰事業を推進する兵庫県並びに豊岡市が行う施策の中で、私たちは様々な取り組みをし、今後さらに推進していきたいと考えている。

私たちが住む河谷は古くからコウノトリの営巣地であった。
コウノトリ野生復帰事業の拠点となるコウノトリの郷公園建設計画の際、公園用地として河谷の共有地・私有地の売却を求められ、先祖伝来の土地を提供した。(面積約75ha)絶滅に追いやったコウノトリを取り戻そうという世界的にも注目されるこの事業に共感したからである。成功を見届けなければならない思いがある。

 

水田ビオトープの取り組み(平成15年より)
「コウノトリと共生する水田づくり」事業の一つ「転作田ビオトープ」 を設置した。
平成15年には91アールの水田をそれに充てた。
この場所に平成18年には放鳥拠点施設が設置され、六方田んぼでの野生復帰の拠点となった。

 

冬期湛水田の取り組み(平成17年より)
「コウノトリと共生する水田づくり」事業のもう一つのは、「冬期湛水・中干し延期稲作」である。
環境創造型稲作の豊岡版が「コウノトリ育む農法」として体系化され、その中で冬期湛水が推奨された。
冬期湛水は、「ふゆみずたんぼ」と云われて古くから存在した農法で、生物の多様性、水田表層にできる「トロトロ層」の抑草効果など宮城県田尻町蕪栗沼周辺での実践から学び、取り組むこととなった。

冬期湛水を開始した平成17年からコハクチョウが飛来し、六方田んぼの新たな冬の風物詩となった。

 

放鳥拠点の設置放鳥(平成18年)
平成18年9月、二組4羽のコウノトリが河谷の放鳥拠点から放鳥された。
その内の一組から平成19年5月、百合地の人口巣塔でヒナが生まれ、7月末に無事巣立を果たした。
国内自然界での野生コウノトリの巣立ちは、実に46年ぶりこことだった。
六方田んぼに野生のコウノトリが戻ってきた。36年ぶりのことである。

 

人工巣塔の設置(平成18年)
河谷放鳥拠点からのコウノトリ自然放鳥を前に平成18年03月22日、河谷集落の中心部にコウノトリの人工巣塔が設置された。
コウノトリファンクラブからの寄贈によるもので、コウノトリファンクラブ会長の柳生博さんが来られて、但馬県民局、コウノトリの郷公園などの関係者、河谷区民が見守る中、頂部に巣台を取り付けた高さ12.5mのコンクリート製の巣塔はクレーン車に吊り上げられ設置された。
この巣塔からヒナが生まれ巣立つことが期待される。

 

水田魚道の設置(平成17年より)
土地改良事務所が進める水田魚道の設置に協力し、数カ所に設置された。
魚道の設置で、水田が魚類を育む場所であることを実感した。

 

水稲のすべてを「コウノトリ育む農法」で栽培(平成18年より)
組合が経営する水田のすべてを「コウノトリ育む農法」で栽培している。
これにより私たちの田んぼでは、たくさんの赤とんぼが羽化し、ツバメが飛来し、コウノトリが定着して採餌行動していることなどから、たくさんの生き物を育んでいることを実感することができた。
また、この農法で栽培した、無農薬、減農薬のお米や大豆は、慣行栽培品に比べ高価格で販売できている。

 

「ひょうご安心ブランド」「コウノトリの舞」認定(平成17年より)
「地元兵庫の安全・安心な農産物」を兵庫県が認定する制度「ひょうご安心ブランド」の認定を受けている。
また、豊岡市が「地元豊岡の安全・安心な農産物」を認定する「コウノトリの舞」の認定も受けている。

 

「コウノトリ舞い降りるたんぼ」の認定

 

ドジョウの養殖(平成18年より)
兵庫県のドジョウ生産実証圃設置事業により、12アールの水田で実施。
百合地巣塔でヒナ誕生時には毎朝、親コウノトリが来てドジョウを採餌し巣塔でヒナに与えていた。
今もコウノトリの餌場となっている。

 

無農薬酒米(五百万石)を契約栽培(平成18年より)
酒造会社との契約栽培で、無農薬、高品質の酒米を生産している。

 

コウノトリ育む大豆の栽培開始(平成19年より)

 

エコファーマーの登録(平成19年)

 

JAS有機の認定取得(平成19年)
認定圃場:13圃場350アール

 

地元新田小学校に実習田の提供。環境教育に協力(平成19年)

1) 映像1…小学校児童、田植機に乗って喜ぶ

2) 映像2…新田小学校の田植え

 

魚類生息区域モデル事業(平成20年より)

 

豊岡市バイオマスタウン構想による菜種の試験栽培(平成20年より)

 

あとがき
これら取り組みのいずれも集落営農の組織があったことで取り組みが可能となったとは特筆できる。
平成18年9月に河谷の放鳥拠点から放鳥されたコウノトリが、百合地の人口巣塔でヒナを育て、無事に巣立った。(平成19年7月31日)
国内の自然界でコウノトリの巣立ちは、実に46年ぶりのことだ。
今や六方田んぼにコウノトリ親子がいるのが日常の風景になった。
夢のようなことが実現したのである。
しかしながら、コウノトリは今も、郷公園からの給餌を心待ちし、仲間の侵入に対しては厳しい縄張り行動をとることなどを見るにつけ、コウノトリにとって現状の六方たんぼは、餌場としてまだまだ十分ではないようだ。
コウノトリが自然の中で繁殖していくために先ず必要なものは、餌となるカエルなどの生きものがたくさん棲む環境なのだ。
コウノトリが棲める環境、即ちいろいろな生きものと共生する取り組みの輪を六方たんぼで広げていかなければならない。
六方たんぼをコウノトリ達の楽園に近づけるよう、今後一層の取り組みをしていきたい。